江寄山 常福寺|奈良時代創建の古刹の記録

東海三十六不動尊霊場

江寄山 常福寺は、三重県伊賀市古郡にある寺院です。不動山を背に南面し、前方に人里と田園が広がる場所に位置しています。

宗旨は真言宗豊山派で、奈良県桜井市初瀬の長谷寺を総本山と仰ぎ、本尊は五大明王です。

本ページでは、寺に伝えられてきた由緒や、現在の境内の様子を、記録とご案内を兼ねてご紹介します。


奈良時代に始まる常福寺の由緒

寺側の資料によれば、常福寺の歴史は奈良時代に遡るとされており、養老六年(722)徳道上人によって開かれたと伝えられています。

伝承では、徳道上人が当地を「南面が晴れて霊鷲山に良く似た名利の地である」として、五大明王を造立し、仏閣を修造したとされています。

その後、**天平二年(730)**には、聖武天皇に上奏され、勅願寺に定められたと伝えられています。


歴史の中での変遷

常福寺は、天正伊賀乱の際に、本尊を残して堂宇を焼失したと伝えられています。

その後、元和元年(1615)に、紀州根来より宥俊法印が入山し、寺を復興。宥俊法印は、中興開山の祖とされています。

江戸時代には、藤堂家の祈願所として保護を受け、**寛政八年(1796)**には、慶応法印によって現在の本堂が造営されたと伝えられています。

近代以降も、

  • 明治三十四年(1901)
  • 昭和五十五年(1980)

に大修理が行われ、今日まで大切に守り継がれてきました。


境内にひっそり佇む 詩が刻まれた古い石碑を3Dにしました。


境内の見どころ

常福寺の境内には、信仰と暮らしが重なってきた“伊賀らしい時間”が残っています。

本堂を中心とした山門・梵鐘・鐘楼など

常福寺の本堂は境内の中心に位置し、現在も日々の勤行や法要、参拝の場として大切に用いられています。

現在の本堂は、寛政八年(1796)に、慶応法印によって造営されたと伝えられています。それ以前、常福寺は天正伊賀乱の際に堂宇を焼失したとされており、現在の本堂は、その後の復興の流れの中で整えられてきた建物の一つです。

本堂をはじめとした、山門・鐘楼など、境内全体の3Dモデルです。

本堂内の見どころ

◆常福寺の本尊は、五大明王です。伝えられている由緒では、徳道上人が和州・長谷寺本尊である十一面観世音菩薩の執行成就後、その余材を用いて、五大明王(五大尊)を造立させたとされています。この五大明王の造立を機に、この伊賀の地に仏閣を修造したことが、常福寺のはじまりとして伝えられています。五大明王は、仏法を守護し、迷いや障りを打ち破る存在として信仰され、大正4年に国宝、昭和29年に国指定重要文化財に指定されました。現在も本堂内に本尊として安置され、日々の勤行や法要の中心となっています。

◆本堂正面の向拝には、龍・獅子・象鼻などの彫刻が備えられています。これらは、三重県出身の彫刻師・田中岷江(みんこう)の作とされ、伊賀市指定文化財に指定されています。また、同じく伊賀市指定文化財である鳳凰飛翔像については、現在は本堂の中に安置されています。

◆本堂内右手には、県指定有形文化財である鰐口(わにぐち)が納められています。この鰐口は、応永六年(1399)の作で、三重県最古のものとされています。
鰐口とは、神社仏閣の堂前に吊るしてある、参詣者が鳴らす鈴のことです。

これらの貴重な歴史的造形物は、長い歴史の中で大切に守られ、現在も本堂でその存在を伝えています。

行者堂(ぎょうじゃどう)

本堂の左斜め前、鐘楼の隣にある小ぶりのお堂が行者堂です。
修験道の開祖とされる役行者(えんのぎょうじゃ)をお祀りしています。
昭和六十二年(1987年)十二月に、篤信の方の寄進により建立されたとされています。

修行大師像

本堂に向かって左手には、修行大師像
若き日の弘法大師空海が、深山に籠り修行を積まれた姿を再現した像です。
昭和五十九年(1984年)十二月に奉納されています。

お大師様 修行中のお姿の3Dモデルです。


永代供養「久遠宝塔(くおんほうとう)」

少子高齢化や後継者不在など、墓のあり方が変わりつつある現代。
常福寺では、そうした時代の流れを受けて、永代供養の必要性が高まってきたことに触れた上で、
境内に永代供養の合祀納骨堂「久遠宝塔」を建立しています。

久遠霊塔前にご鎮座されているかわいらしいお地蔵様の3Dモデルです。

「お墓の後継者がいない方」
「故郷で安らかに眠りたい方」
「縁故者を近くで供養したい方」
など、多様な事情に寄り添う供養の形として案内されています。

ご祈祷・ご祈願

常福寺では、年始の初祈祷以外でも、依頼があれば随時、護摩祈祷などを勧めています。

代表的なものとして、

  • 護摩祈祷
  • 交通安全祈願
  • 地鎮式・上棟式
  • 安産祈願(腹帯授与)
  • 厄除祈願
  • 商売繁盛祈願
  • 学業成就(合格)祈願
  • 必勝祈願
  • 病気平癒祈願

などが案内されています。
個人・家族だけでなく、会社・法人の申込みにも対応し、日時についても可能な限り調整するとされています。


常福寺の境内風景

  • 三重県伊賀市の江寄山常福寺、山門へ続く石段と寺号碑の風景

    江寄山 常福寺の山門へ続く石段。

    参道の正面に寺号碑が立ち、境内へと導きます。

ご協力への御礼

本記録の制作にあたり、撮影ならびに掲載にご理解・ご協力をいただきました常福寺の皆さまに、心より御礼申し上げます。
伊賀の地で大切に守り継がれてきた祈りの場を、これからも記録として丁寧に残していきます。


  • 寺院名:江寄山 常福寺
  • 所在地:三重県伊賀市古郡559
  • 宗派:真言宗豊山派
  • 本尊:五大明王
  • 公式ホームページhttps://www.ict.ne.jp/~jofukuji/