■ 宝塚1号墳 ―― 古墳のまち松阪が守り続けてきた文化財
宝塚1号墳は、5世紀初頭(約1600年前)につくられた前方後円墳。
大きさは全長111m。
当時、この地域を治めていた「王」の墓と考えられています。
長い年月を経て
- 保存処理
- 発掘調査
- 修復作業
が進み、出土した埴輪278点は 2024年、正式に国宝 となりました。
松阪が誇る文化遺産が、ようやく国に認められた瞬間でもあります。
■ 船形埴輪 ―― 王を送り出す船か、王の功績を示す船か
全国には船形埴輪は30数例ありますが、
「船の上に飾りがついている」ものは宝塚1号墳が初めての発見。
この船が意味していることについては、2つの説があります。
- 生きていた王の功績を示す船
- 亡くなった王の魂をあの世へ運ぶ”葬送船”
どちらもロマンに満ちた解釈で、想像がふくらみます。
発掘写真を見ると、船の周りに敷き詰められた石や、丁寧に残された形がそのまま見てとれ、
1600年前の人々の「祈り」のようなものが伝わってくるようでした。
■ 三人童女 ―― 3人の少女が正座する、日本に一つだけの姿
高さ約1m。
3人の少女が横に並んで、丁寧に正座しています。
どの少女の顔にも、櫛で描いた細い線刻が残り、髪型は島田髷のようにまとめられています。
耳や首元には玉飾り。背中には円盤の文様があり、鏡を表すと言われています。
3人の少女は、膝の上で何かをそっとつまむような手つきをしています。
この指先の形がとても細かく、粘土で作ったとは思えないほどの美しさでした。
そして今回の展示品は、関東の機関から松阪へ借りてきた特別展示だそうです。
県内でこれを見られる機会は、実はかなり貴重なのだとか。
■ ときわたり 文化遺産360°コーナー
松阪市の中心部に佇む「はにわ館」。
観光施設というより、静かに文化財と向き合う“学びの場所” といった雰囲気を持つ建物です。
外観は落ち着いたレンガ調で、周囲の緑と調和しており、初めて訪れる人にも安心感があります。
館内へ一歩入ると、受付の奥に広がるのは 宝塚古墳の世界をそのまま切り取ったような展示空間。
照明はやわらかく、ガラスケースの中で埴輪たちが静かに佇んでいます。
ガラスケースの近くに立つと、1600年前の土の温度まで感じられそうな静けさがあり、自然と姿勢が正されるような、不思議な緊張感があります。
■ 最後に
松阪市の宝塚古墳は、観光地としてはまだ大きく知られていませんが、
その出土品は全国トップクラスの価値を持っています。
今回の展示に合わせて、もしご興味があれば「はにわ館」を訪れてみてください。
国宝に指定されたばかりの埴輪たちが、静かに迎えてくれます。


